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2005.10.10

要約対談2005/08 4/5

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・要約教材として社説は最適か

E:すみません、ビールをもう一本、お願いします。
今私が要約の教材に使っているのは経済新聞なので、ロジカルに書いてあるから40字要約しやすいと思っています。教材選びについてはいかがですか。

K:小論文の指導をする時に新聞の社説を薦めていないんです。主張しているようで、万人向けに書いてあるので、こういうこともあるし、そういうこともあると、確かにそうなんですが、それで終わってはいけないんです。自己主張が必要なんです。

E:次の目標はもう少し長いものに挑戦してみたいと思っているんですが、気をつけることはありますか。

K:さっきの短歌の世界で言いますと、短歌は31字といいながら連作というのがありまして、たとえば短歌を旅行記みたいにまとめていくものがあるんです。そういう意味では連作の要約みたいなものも良いのではないでしょうか。章毎に40字でまとめて、10個あると400字になりますが、それを追っていけば本全体を読んだことになりますから、一章一章もわかるし、関係や全体の構造もわかりますよね。こういう方が面白いかもしれません。

E:あるとき本屋で『鉄則!企画書は「1枚」にまとめよ』(2003年10月)、という本があったんですよ。引き込まれるように購入して読んでみたんです。実例もついていて分かりやすいのが気に入りましてね。ただ、うまくまとめていかないとA4、1枚に入らない。そのとき必要なスキルはなんだろうと思った時、要約だと思ったんですよ。そのあと40字要約の本を見たんです。私の最後のアウトプットはA4、1枚の企画書なんですかね。
切り捨てる潔さ

K:やっぱり切り捨てるってことは大切ですよ。大きいことをいうと、人生にはやりたいことはたくさんあるし、言いたいことも一杯あるし、付き合いたい人も一杯いるかもしれないけど、時間も空間も限られている。その中で一番大切なことは何か読み取ることは、一番大切じゃないですか。そうすると要約みたいなもんなんですね。人生も、要約できないダラダラいくと、やりたいことが何もできない。何か捨てることの潔さを身につけるには、一枚企画書も40字要約も無意味ではなく、人生に役立つと思うんですよ。
ただ、捨てたものに対する愛情も大切だと思うんですよ。冷たい人間になってしまうんで。
やっぱり蓄積していくのは、すごく大切だと思うんでしょね。それが本当に力になるし、一つ一つを忘れていくような毎日ではなくなると思います。

E:生徒さんに指導されるときに、先にあげられた正解以外に要約する時に落とし穴のようなものがあるんでしょうか。私は正解が何かと思って、イライラすることが一番多いのですが。

K:一番はそれなんですけどね。書いても書いても正解がはっきりしないから、それが不安だっていうことなんでしょうけど、でも書いているうちに、たとえば50字にさせますね。それでは不安なんですけど、それをさらに10字にすると、ほとんどみんな一緒になる。10字にした時に間違っていなければ、それは正解だと言ったりしているんですね。まず、それが一つですね。
それから5字で見出しをつけるようなこともするんですけど。
もう一つはですね。細かい方法論になるんですが、長い言葉を短い言葉で言い換えるというのがありますね。たとえば外来語は長いから、日本語の漢字熟語を考えるわけです。法則はないわけなので、本人のボキャブラリーというか、それにかかってくるので、そういう意味での国語力というんですかね。大きく言えばそういうものに対してうまく言い換えできないと自信の無さに繋がる問題があるんです。

E:言い換えですね、私も多用しています。社名などがタイトルにも入る時、一文字とってH社とか略したりします。カタカナは半角で書いて字幅を稼いだりもするんですよ。40字の字数というかスペースに入れるようにがんばってしまうんです。パソコンだからできる技なんですけど。物理的には、このスペースに入れるぞ、とがんばってしまうんです。

・読ませる要約

K:確かに字数も大切なんですが、さっきのお話のA4に入れる企画書というのは、これは空間というかスペースに入れるというもんですよね。

E:A4で見ると知りたいことが書いてある。詳しいことは別の企画書を見てね。そんなことになるんですね。

K:たとえば学術論文にはレジュメとか要約をつけているわけですね。それはそれで、終わるわけでは無くて本編というか学術論文に要約がついているので、全部を読みたくなるような要約じゃないと意味がないですね。ですから要約も機械的ではあるけれども、さっき創作っていいましたが、攻めといいますか、攻める意味といいますか、読ませるための要約法というのは、もう一つ一段上にあるんでしょうね。こういうふうに要約を書いたら、あなたの伝えたい全体を読んでもらえますよ、というような要約になると面白いですね。

E:けっこう要約は面白いですね。ビールをまた頼みましょう。
ただwebで探しても要約に触れているものは少ないです。先ほどの新聞の要約をまとめて自分のwebにアップしていますが、ほとんど反応もありませんし。孤独なんですね、違和感を持ちながら続けているわけなんですけど。

K:確かに反応しづらいところはあると思うんです。興味はあっても、今さっきも言いましたけど要約に関する本も少ないし、それに対する方法論を書いた本もないんですよ。今はいろんな人がいろんな要約を自分のやり方で紹介している。そういう出発の時だと思うんです。一番最初に言ったと思うんですが、最初は読解するために、文章を効果的に読むために、こういうふうに読めましたというために要約することが多かったと思うんですが、4-5年前からこういうふうに、変わってきたと思うんです。ようやく要約の時代が来たと思うんです。ただ歴史が浅いから本当の要約はこういうものですよ、という人は一人もいないと思うんです。本もないですよね。いろんな人がいろいろやっていくしかないですよね。

5/5 ・要約は孤独だ ・「図解」よりも、やっぱり要約 ・「要約を極める」の「要約」に続く

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